書き出して分かること
序論で「個性とはなにか」ということをきちんと自分の言葉で置き換え「それぞれを特徴付けている性格である」と定義すると読み手にとってこれはわかりやすくてよくなります。また、そこから、「個性の尊重の意義」という設題の意図に沿って問題提起できます。
「テーマは何か」「この著者が問題としているのは何か」「著者の意見は何か」「設問意図は何か」などを書き出しましょう。
そして、そこから日本の教育が「規則を守らせ、統制することを重視している」とし、個性を尊重したものではないとして、問題視することにつながります。 具体例の選択についてですが、障害者に対する視線を「個性の尊重」という例とするのは少し意図が違うのではないかと考えることができます。外見的な違いは、決してその人物の人間性すなわち個性を決定付けるものではありません。ましてや長所短所と見るようなものでもないはずです。個性の定義を「特徴付けている性格」としているのですから、そこから適切だと思われる具体例を十分吟味しましょう。
個性を尊重することの意味から考えてみることは、大変理にかなった方法です。さらに踏み込んで、なぜ個性を尊重することが大切なのか、個性を尊重することにどのような意義(価値)を見出すことができるのか、分析段階での考察をもう一歩深めておくと、論述をさらに説得力あるものにすることができます。
さらにあなたが、取り上げた問いをしっかりと突き詰め、考えを深めていく姿勢を忘れないでください。
日本の教育は、まだまだ教科の総合点や偏差値に重きが置かれる傾向にありますが、そのような方針が、個性を伸ばす上で具体的にどういった弊害を招いてきたのか考えてみましょう。また、「個人を紙の上だけでなく、個人として見る対策」として、「面接」による受験方法が挙げられますが、日々の教育現場においては、どのような実践が必要だと思いますか?
近年、偏差値重視の教育方針への反省から、個性化教育の必要性が求められるようになり、受験に「面接」や「小論文」等を課す大学も増えてきつつありますが、選別段階での方針転換だけでなく、実際の学校生活においても何らかの改革は必要とされるのではないかと思います。それに応えるべく文部省(現・文部科学省)が「ゆとり教育」を打ち出しましたが、その理念が本当に個性化重視の教育に結びついているかどうかも、日ごろの学校生活を振り返りながらあなたなりに考えてみるとよいでしょう。
個性の尊重が妨げられる原因
他にも個性の尊重が妨げられる原因として、「人間関係」を取り上げることもできます。あなた自身の経験を踏まえることが可能であれば、自己主張のできない交友関係や、自分と考えの違う人を受け入れることができない仲間意識が、個性を尊重する上で、どのような妨げになっているのかという点について、読み手にも分かりやすいように、かみ砕いた説明が必要になってきます。
人々が堂々と自己主張できなかったり、異なる考えの人を受け入れることができなかったりするのはなぜでしょうか? 傷つくことを恐れるあまり表面的な衝突を避け、事なかれ主義的なコミュニケーションに甘んじようとしがちなのは、何が原因しているのでしょうか? 「違った考えを持つ人を誰でも受け入れられるような心が必要なのだ」ということですが、どのような環境ならば、それが可能となるのでしょうか? 自分を変える必要があるとしたら、どのような変化が必要なのでしょうか? そういったことがらについても深く掘り下げて考えてみましょう。
説得力を増すために
日本の社会においては、教育現場に限らず地域や会社組織等でも、とかく集団主義的傾向が問題だと取りざたされますが、一律の価値観で人間を序列化したり、突出したものを排斥したりしようとする集団主義的傾向が、個性尊重を阻むことと関係がありはしないか、あなたなりの疑問を自問自答に反映させ、そのあたりの問題点を浮かび上がらせてみることもできるのではないでしょうか。そうすることで、「個性を尊重することの意義」を明確にするとともに、より具体的な解決策へとつなげていくこともできるのではないかと思います。また、様々な違った環境での生活や孤独の経験の必要性を主張するのであればそれらについては、何か具体的な事例を挙げての方法説明があると、説得力も増してきます。
個性が尊重される社会を築く上で、日本とは異なる欧米社会の個性化重視の教育理念や、社会のあり方は大いに参考になりますが、時にはそれらが偏ったエリート教育になってしまったり、人々に格差をもたらす原因ともなっている側面も、一応は把握しておく必要があります。また、個性が尊重される社会であれば、どのような考え方や能力であろうとも、個性なのだから許されると考えるべきではないでしょう。個性尊重を独りよがりなわがままが通る社会だと勘違いすることは許されません。お互いの個性がぶつかり合うことによって生じる摩擦を回避するためには、おのずと規範も必要とされることでしょう。そういったことも考慮することで、「個性を尊重することの意義」について、より深く追究することができるのではないでしょうか。
あなたは、自分の意見を、課題文の中で述べられている意見や一般論とは区別して、きちんと表明すること必要です。論述において、最終的な結論として説得力を持って自分の意見を述べるためには、分析メモ段階で、結論部分に至る内容をもう少し掘り下げておくことが大切です。自分の意見をはっきりと述べることは、なかなか勇気の要ることではありますが、客観的な分析とそれに基づく考察の訓練を重ね、自信を持って自分の意見を述べることができるようにしていきましょう。
主張を広げすぎない
結論部分ではあえて国単位に意見を広げることをせず、視点を日本社会にとって望ましい「個性の尊重」の意義について主張を絞ったほうが、まとまりが良いでしょう。
日本社会は協調性を尊び、他人と同一化することで人間関係を円滑に保つという心理が深く浸透しており、集団社会のルールや道徳観、善悪の判断は、このような規律と統制があるからこそ守られているともいえます。マイナス点では、偏見となるでしょうが、プラスの面では人間関係が円滑に進みます。そのような、プラスの面も考慮しながら日本人の根底にある心理について、国民性や歴史的背景、道徳理念や生活環境などから、もう一段階分析を進めてみてください。
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